夢から覚めない

忘れられない美容室がある。
厳密にいうと、「あった」。

 

都会のずっと僻地、廃墟の隣に佇む秘密の花園。
ジュエリーデザイナー兼美容師というオーナーが営む自由すぎる空間は、どの部分を切り取ってもアートになってしまう。今まで訪れたどの美容室とも違っていて、そのスケールに圧倒された。

 

プードルがゆっくりしている部屋、本棚がある部屋、ジュエリーが並ぶ部屋、丸くて大きな窓がある部屋、カットの部屋。そこまで続く、広々とした庭。
客は私ひとり。空間はあり余る。

 

施してもらった立体的なダブルカラーも、アートのようだった。
表現ってこんなに自由でいいんだと思わせてくれる場所。
今もまだこの美容室を超える場所は見たことがない。

 

この美容室、今は営業していない。

オーナーはニューヨークへ旅立って、アパレルデザイナーとして活躍しているそう。

タイ・バンコク。